恋愛観は、男性と女性で全く異なるものといえます。
男心がわからない、女性心理が理解できない、など、異性の気持ちが理解できずに、恋愛で失敗を繰り返してきた人も中にはいるでしょう。
今回は、プロの心理カウンセラーが「男女の決定的な恋愛観の違い」について詳しくアドバイスしていきます。
昔の恋、SNS、告白の3つのポイントに絞って、気になる男女の恋愛観の違いを解説していきます。
昔の恋や元恋人の影を引きずりやすいのは男?
男女でどちらが過去を引きずりやすいかというと、男性のほうが過去の思いを残しやすいようです。
あるたとえ方によれば、恋愛の記憶処理方法は、女性は「上書き保存」、男性はひとつの恋ごとに「名前を付けて別フォルダに保存」という形式を取るからのようです。一般的には、女性は恋のバージョンがつねに最新版に更新されていきますが、男性は恋の数だけ思い出フォルダを増やしていく傾向があるようです。
これはどちらが良いとか悪いとかはありません。今の恋にしなやかに順応する現実適応力があるのもすばらしいことですし、夢を追いかけたり懐かしんだりするロマンティストの部分があることもいいでしょう。ただ、お互いに違いがあるのを認知しておくことが大切です。違いを知っておくことで、彼(彼女)が元彼女(彼)のことを思い出したからといって「自分が負けている」などと気に病むようなことは減らせるでしょう。
昔の恋や元恋人について思い出すのはどんなことでしょう。楽しかった思い出か、逆に思い出すのもつらいことか、どちらにしても印象の強かったことが出てきます。
いい思い出ばかりだった場合、昔の恋はとことん美化されているようです。当時嫌だったことはすっかり忘れてしまい、「彼(彼女)はああしてくれた」「彼(彼女)はこうだった」と、昔のパートナーのいいところの記憶が強化されています。美化された思い出と、今、目の前にいる生身の人を比べるのは酷なものです。昔の恋のいい思い出というのは、客観的に考えることができれば、今の意中の人との間で問題にならなくて済むはずです。
心理的に見ると、いい思い出ではないほうが簡単には扱いにくいようです。過去の恋愛でやり残したことがあると、新しい恋に踏み出しにくくなります。とくに自分が好きで添い遂げられなかった恋があると「あのときこうすれば良かった」と、いつまでも心に引っ掛かりが残ります。
また、過去の恋愛でひどく傷ついたことがあると、同じように傷つきたくないと防衛本能が働きます。これらが昔の恋の亡霊となって、今の恋に影響してきます。過去の感情に心を残したままだと前に進めなくなってしまうのです。
私たちは恋した数だけ失恋や別れを経験しています。恋をするたびに「恋とはこういうものだ」という概念をつくり出しています。そして新しく出会う人にその概念を当てはめてしまいがちです。
まったくの別人なのに、過去の亡霊を重ね合わせて痛みと傷を感じてしまうものなのです。もし過去の亡霊が邪魔をしているのなら、過去にできた傷や痛みを今のパートナーに引き継がないためにも、一度過去の思いと向き合ってみるといいでしょう。
かつての恋人と出会うべくして出会ったのならば、ふたりが出会った意味を見つけましょう。ふたりの恋愛の経験から学ぶべきことはなんだったのでしょうか。その学びを得たことに感謝して、その過去の恋からさっぱりと卒業しましょう。
自分のほうが過去の恋愛の亡霊にとらわれているようならば、こういった方法で過去から卒業しましょう。片想いの相手が過去の恋愛の亡霊にとらわれているようならば、「私は亡霊とは違うよ」と、あなたが新しい世界を見せてあげましょう。
怖がり屋さんには安心できる世界を、裏切られた痛みをもつ人には信頼のある世界を見せてあげましょう。あなたが相手に与え続けたら、相手が見る世界が少しずつ変化していきます。与えることには根気がいることもあります。深刻にならずに、いつも余裕と遊び心をもつようにしましょう。
イソップ寓話の「北風と太陽」の太陽さんになりましょう。やがて相手が過去の亡霊から解放されたとき、与え続けたあなたは一番近くにいる人になれるのです。
絵文字に鈍感なのは男? ただ、ハートマークには要注意。
メールやSNSで絵文字を巧みに使いこなしているのは女性です。絵文字に敏感なのは女性のほうです。
男性では絵文字の意味を意識して使っている人はごく少数。男性の中にも女性的な感覚をもって絵文字を使う人もいますが、このタイプの男性が送信してくるメールやSNSには毎回絵文字がふんだんに使われているので、容易に見分けられるでしょう。
一般的な男性は、メールやSNSから文字面しか読み取りません。絵文字が多いメールやかわいいデコレーションメールを受信しても、「気合が入っているなあ」くらいにしか感じないのです。
日常の会話でもそうですが、女性には感情を受け止めてもらいたいという欲求が強くあります。女性同士の会話は、結論があるものではなく、感情を共有するものが多くなるのもこのためです。
女性が男性にプライベートな話をするとき、男性は女性に対してアドバイスをしたがりますが、ほとんどの場合、女性はアドバイスを求めていません。「大変だったね」「つらかったね」「良かったね」など、女性が感じていることを受け止めてほしいのです。女性は共感してもらうと安心して落ちつくという性質があります。
メールやSNSでは、女性の感情面が絵文字に反映されます。女性は直接言葉にはしない行間に込めた気持ちやニュアンスもくみ取ってほしいと思っているのです。女性にとっては、そうすることが普通で当たり前のことだからです。ところが、男性にとって絵文字はただの記号でしかありません。ここに気持ちのすれ違いが生まれやすいのです。
たとえば、「映画に行かない?(絵文字)」と女性がメールやSNSするとき、「私はあなたと一緒に映画に行きたいのだけれど」という前提は省略されています。どれくらいそうしたいと思っているのか、ウキウキする気分は絵文字で表現されています。
多くの男性は、この省略された部分と絵文字に込められた女性の気持ちが読み取れません。単純に自分が映画に行きたいかどうかを聞かれたと思ってYES・NOの返信をしがちです。そして、返信を受け取った女性は、自分が伝えたかったことの半分すらも男性が理解していないことを知らずに、返信を見て一喜一憂します。女性は、言葉数の少ない男性の返信メールやSNSから、男性の気持ちを読み取ろうと深読みしていくことになるのです。
男女間のコミュニケーションは、ほぼ異文化コミュニケーションです。異文化では誤解はつきものです。
女性のみなさんは、「男性は女心がわからないもの」と理解し、男性に気持ちが伝わる言葉でのコミュニケーションをするようにしていきましょう。男性のみなさんは、「女性は気持ちをあえて言葉にしないもの」と理解し、絵文字や振る舞いから気持ちをくみ取って、そのうえで女性の気持ちに反応していくようにしましょう。
男女間では、伝わっているか不安なときは確認する、わからないときは素直に聞いてみる、というのがお互いにとって、大切になります。
最後に、何種類かあるハートマークの絵文字について、女性は用途によって使い分けることができますが、男性はただハートマークとしか認識しません。友情を示すつもりのハートマークでも、ハートがあるということは「自分に気があるのかも」と誤解されることがあります。ハートマークの使い方には注意をしましょう。
「好き」の告白がないと先に進めないのが女?
多くの女性は、きちんと言葉で「好き」「つきあおう」と、できれば男性から言ってほしいと考えています。女性にとっては、気持ちを確認するやりとりは恋愛の始まりに不可欠なものです。お互いの気持ちがなんとなくわかっていても、言葉にして言ってもらわないと不安が拭えないのです。
はっきりと言葉を伝える「儀式」が欲しいのです。その「儀式」をするだけの価値が自分にはあると感じたいのです。自分への気持ちの証明のために、恥ずかしさを越えて「好き」と宣言してほしいのです。そして、OKが確実な告白のシーンでは、プロポーズほどではなくても、ささやかな演出をするとロマンティックな気分になり、とても喜ばれます。女性は感性・感覚で愛されていると感じ取るのが大好きです。恋愛初期段階での雰囲気づくりはとくに大事にしたいところです。
一方男性は、お互いに好きという気持ちがあることがわかっているのならば、今さらあらためて言うなんて恥ずかしいし、必要ないと考えがちです。現代では、告白は男性からするものとは考えられていません。どちらかといえば、女性から告白されることを待っている男性もいます。
なんとなくお互いがつきあうことに合意が得られている状態ならば、若くて健康な男性の関心は、次の段階の性的なことに向いています。これは誠実さとは無関係で、動物の本能、ほぼ生理現象のようなものです。もしふたりの関係が体の関係から始まったとしたら、男性はお互いの意思確認は済んだものとして女性を扱うでしょう。
では、これらの男女の発想の違いを踏まえて、片想いのときにどう進めていったらいいのでしょうか。まず、男女ともに、相手から告白してもらうことを期待するのはやめましょう。「好き」なものは「好き」と自分から表現していきましょう。告白は愛のプレゼントです。告白は、自分の恥ずかしさよりも、相手に感じるすばらしさを伝えていくことを優先する「尊い行為」なのです。
告白をするときに大切なのは、相手の状況を理解してタイミングを計ることです。こちらの気持ちが高まっていると、つい相手の状態が見えなくなってしまいます。こちらの話を聞きやすい状態かどうか、相手の都合を見計らって告白するといいでしょう。相手の都合は、物理的な都合と心理的な都合の両方に配慮しましょう。
次に、告白の内容についてですが、基本的に告白されて嫌な気持ちになる人はいません。断らなければならないときに嫌な気持ちになることはありますが、人から好かれることは大概うれしいものです。では、好きな気持ちをどう伝えると効果的かというと、告白は「愛のプレゼント」だと考えましょう。当然ですが相手が言われて喜べる伝え方をしましょう。
たとえば、「この間残業していたとき、自分も忙しいのに“手伝おうか”って声をかけてくれたよね。締め切りに間に合うかギリギリであせっていたからうれしかった。あのときに、すごくやさしい人だなと思った」というように、いつ、相手がどんなことをしてくれて、それについて自分はどう感じたのかをできるだけ具体的にいくつか挙げて、そんなあなたが「好き」と伝えるのもいいでしょう。
大人になってからは、自分のいいところをしっかり見ていて褒めてくれる人はそんなにいません。勇気を出して「あなたはこんなにステキな人です」と愛のこもった言葉のプレゼントを贈ってみましょう。