ピラティスとは?ヨガとの違いや効果、向いている人を徹底解説

ピラティスとは?

ピラティスとは、インナーマッスルを鍛えることで身体の柔軟性を高め、歪みを解消して体全体のバランスを整えることを目的としたエクササイズです。

交感神経を活性化させる胸式呼吸をベースにし、流れるような動作で体幹に関連するインナーマッスルを強化します。

ピラティスはただ筋肉を鍛えるだけでなく、深い呼吸法で内臓や脳、神経を活性化させ、自律神経を整えるため、心の健康にも繋がります。

ピラティスはヨガの要素を取り入れているため、よくヨガと混同されますが、太極拳の要素も取り入れているため、ハッキリとした違いがあります。

ピラティスの起源は?

ピラティスの起源は1883年まで遡ります。

ドイツのフィジカルトレーナーであるジョセフ・ハベルタス・ピラティス氏は、自身の病弱な身体を克服するために、あらゆるスポーツや治療方法を研究し、それらを組み合わせたエクササイズを考案します。

その後、第一次世界大戦で従軍看護士となったピラティス氏は、考案したエクササイズを負傷兵や寝たきりの患者のリハビリ指導のために利用します。そうやって発展させていったのがピラティスの始まりと言われています。

通常のエクササイズとは異なる動きをするため、当時は「コントロロジー」と呼ばれていましたが、後にピラティス氏の名前をとってピラティスと呼ばれるようになりました。

ピラティスとヨガの違いは?

前述したように、ピラティスはヨガの要素を取り入れているため、ヨガと似ていますが、大きな違いがあります。

  • 成り立ち
  • ピラティスは第一次世界大戦時に負傷兵のリハビリを目的として生まれたのに対し、ヨガの起源はインダス文明で、精神の安定を目的とした宗教的な修行法として生まれました。

  • 呼吸法
  • ピラティスは交感神経を優位にする胸式呼吸を取り入れており、脳や筋肉を活性化させる効果があります。対して、ヨガは明確に呼吸法が定められていないものの、近年では副交感神経を優位にする腹式呼吸を取り入れているものが多く、心身ともにリラックスさせる効果があります。

  • エクササイズ
  • ピラティスは関節や背骨の流動性を高めるために、流れるように動き続けていきます。動きの回数よりも質を重視し、筋肉や骨を調整して正しい位置に収めることを意識します。対して、ヨガはストレッチのポーズで深い呼吸をしながら静止し、筋肉の柔軟性や関節の稼働域を広げていきます。

ピラティスの効果を解説

ピラティスには、様々な効果があると言われています。ここからは、ピラティスに期待できる6つの効果を解説について、詳しく解説していきます。

姿勢を改善する

ピラティスでは、背骨や肩甲骨、骨盤、股関節などの主要な骨格を意識しながらエクササイズすることで、骨や筋肉の正しいポジションを見つけることができます。

また、ピラティスでは主に体幹に関連するインナーマッスルを鍛えていくため、骨や内臓を正しい位置に収める力がつく他、背筋が伸び、猫背や反り腰も改善されていきます。

そうして全体的な身体の歪みを直し、バランスを整えていくため、必然的に姿勢も改善されます。

肩こりや腰痛を和らげる

ピラティスは、肩こりや腰痛の解消にも効果があります。ピラティスの動きで骨や内臓を正しい位置に戻してキープできるようになると、体全体の血の巡りが良くなります。

さらに、背筋を伸ばしたり逸らしたりして肩甲骨や肩の筋肉がほぐされると、背筋が伸び、凝り固まった筋肉が柔らかくなります。

肩回りの筋肉をほぐしたり、血流を促進させたりすることで、乳酸菌の詰まりや硬くなって緊張した筋肉によって引き起こされていた痛みが緩和されていきます。

インナーマッスルを鍛える

ピラティスでは日常的な動きや通常のエクササイズでは鍛えにくい、インナーマッスルを強化することができます。

筋肉を活性化させる胸式呼吸を行いながら流動的な動きを続けて、体幹に関連するインナーマッスルにアプローチしていきます。

インナーマッスルを鍛えると身体の歪みが改善しされる他、血流が促進され、新陳代謝が上がって脂肪が燃焼されやすくなるので、太りにくく痩せやすい身体へと変えていくことができます。

免疫力を高める

ピラティスを行うと血流が促進される他、体中に酸素が行き渡りやすくなるため、新陳代謝が上がって腸を含む内蔵機能が改善され、免疫力を高める効果が現れます。

また、免疫に関連する自律神経系の機能に悪影響を及ぼすストレスも、ピラティスの深い呼吸法とリラックス効果から解消されやすくなります。

さらに、ピラティスで免疫力を高めることで、更年期障害による様々な心身の不調の緩和効果も期待できます。

ストレスを解消する

ピラティスは身体を鍛えるだけでなく、ストレスを解消する効果もあります。

前項でも解説したとおり、ピラティスで行う胸式呼吸は脳や身体を活性化させる交感神経に働きかけます。脳が活性化すると自律神経のバランスが整い、心が安定してストレスへの耐性が高まります。

また、ネガティブな思考が消え、ポジティブな思考が生まれやすくなります。そのため、ピラティスを行った後は頭がスッキリとするような爽快感を得られるのです。

睡眠の質が向上する

ピラティスを行うと自律神経のバランスが整い、またしっかりと筋肉を動かしてエネルギーを消費するため、ぐっすりと眠れるようになります。

また、ピラティスで行う深い呼吸と流れるような動作によって、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」の分泌が促進されます。

「セロトニン」は精神を安定させる働きをするほか、良質な睡眠を作る「メラトニン」というホルモンの原料になるため、分泌が増えると睡眠の質が向上する効果が期待できるようになります。

ピラティスに向いている人は?

ピラティスは、次のような人に向いていると言われています。

  • 猫背・反り腰を解消したい方
  • 姿勢を改善したい方
  • ぽっこりお腹を引っ込めたい方
  • 肩こりや腰痛を和らげたい方
  • 身体を動かしてスッキリしたい方
  • 筋肉を鍛えてボディメイクをしたい方
  • ストレスを発散したい方
  • 良質な睡眠を取りたい方
  • 身体の柔軟性を上げたい方
  • 免疫力を高めて、丈夫な体を手に入れたい方

ピラティスに向いていない人は?

ピラティスに向いていない人の特徴には、次のようなものがあります。

  • 即効性のあるダイエット方法を探している方
  • 思いっきり体重を落としたい方
  • 汗をたくさん流したい方
  • 忙しくて継続的に行えない方
  • 関節に深刻な不調がある方
  • 飽きっぽい、面倒くさがりな方
  • 集中することに苦痛を感じる方
  • 初心者で妊娠初期から妊娠中期の方

ピラティスに道具は必要?

ピラティスを行う際に、道具は必ずしも必要ではありません。

スタジオや教室で行う場合には、道具を使ったマシンピラティスが一般的ですが、自宅などで行う場合には、マットの上で行うマットピラティスが主流です。

ここからは、マシンピラティスとマットピラティスについて、それぞれ解説していきます。

マシンピラティスとは?

マシンピラティスとは、専用の器具を使用して行うピラティスを指します。

マシンピラティスでは「リフォーマー」「チェアー」「バレル」「キャデラック」といった器具を使用します。なかにはピラティスの起源となった寝たきりの人のリハビリにも使える大型マシンもあります。

器具を使ってのエクササイズは500から600種類もあると言われており、自分に合った方法を選べます。

また、身体への負荷を器具でコントロールできるので、初心者や障害を持つ人にも向いています

ただ、マット1枚で手軽に行える普通のピラティスとは異なるため、専用器具を整えたジムや教室を探す必要があります。

マットピラティスとは?

マットピラティスとは、マットの上で行うピラティスのことを指します。最も多くの人が行っているピラティスで、一般的なジムや教室ではマットピラティスが主流です。

マット1枚あれば誰でもできるので、自宅でも気軽に行える他、マットを畳んで持ち運んで自然の中で行う人もいます。

マットピラティスは基本形だけでも40種類ほどのエクササイズがあり、全身をくまなくほぐし、鍛えられます。

マットの上で、身体1つで行える動作がメインですが、他にもゴムベルトやボールといった補助器具を使用するエクササイズもあります。

ピラティスを行うには? 学び方・やり方を解説

ピラティスを行う方法は「スタジオや教室に通う」「ネットなどで学び自宅で行う」の大きく2つになります。

ここからは、それぞれのやり方について解説しますので、ご自身の好みに合わせて、ピラティスを始めてみてください。

スタジオや教室に通う

ピラティスはヨガに次ぐ人気のエクササイズで、多くのスタジオや教室でレッスンが行われています。

レッスン形式は主に2パターンあり、複数人が一緒にピラティスを行うグループレッスンと、ピラティスの資格を保有したインストラクターとマンツーマンで行うプライベートレッスンがあります。

しっかり学びたい方や、細かく動作の指導をして欲しい方はプライベートレッスンがおすすめです。みんなでワイワイ楽しみながら、ピラティスを行いたい人はグループレッスンがおすすめです。

ピラティスは動きの質によって効果に差が出てため、初心者の方はプロに教えてもらうほうが良いでしょう。

ネットなどで学び自宅で行う

忙しくてレッスンに通う時間がなかなか取れない人や、人前でエクササイズをすることに抵抗がある人は、ネットやDVDなどでピラティスを学び、自宅で行う方法もあります

自宅であれば分からない動作を繰り返し確認するなど、自分のペースで行えますし、気に入った動作を好きなだけ行うこともできます。

正しい動作を行えていれば自宅でも十分効果を得られますが、動作が分からない方や初心者の方は、あまりおすすめできません

ただ今ではオンラインレッスンも行われているので、通えないけれどプロに教えてもらいたい! という方はオンラインレッスンを選ぶ手もあります。

ピラティスQ&A

ここからは、ピラティスのちょっとした疑問をQ&A形式で詳しく解説します。

ピラティスを行うには、食後は避けるべき?

食後すぐに体を動かすと、わき腹が痛くなってしまったことはありませんか?

これは、食事は胃に血液が集まりやすくなり、運動時に急激に収縮する脾臓に血液がいきにくくなるため起こってしまうと言われています。

ピラティスは一見激しい動作はありませんが、しっかり筋肉を動かし鍛えるエクササイズなので、ピラティスを行うのは、食後2時間は避けたほうが良いでしょう。

体調不良でも、ピラティスは毎日続けたほうがいい?

ピラティスは毎日の継続が大事なエクササイズですが、体調が優れない時や怪我をしている時に行うのは避けましょう。ピラティスの動作で痛みが増したり、傷口が広がったりしてしまう恐れがあります。

また、新陳代謝を上げるだけでも知らず知らずのうちにエネルギーが消耗されるため、体力が足りない体調不良時に行ってもあまり効果は期待できません。

ピラティスの前に準備運動は必要?

スポーツや水泳前に準備体操をして体をほぐすように、ピラティスを行う前にも準備運動をする必要があります

走ったり飛んだりといった激しい動きはありませんが、意外と筋肉を動かすため、体が硬いまま始めてしまうと、体を痛めてしまう可能性があります。

また事前に筋肉をほぐして体を温めたほうが、より効果が期待できます。

生理中にピラティスを行ってもいい?

生理中は運動を避けたほうが良いイメージがありますが、もともとピラティスは負傷兵のリハビリのために開発されたため、生理中に行っても問題はありません。

動けないほど痛みが強かったり、医師から特別な指示が出たりしていない限りは、むしろピラティスは生理中に最適なエクササイズといえます。

ただ貧血によるめまいを起こす可能性があるため、自宅でゆっくり行うのが良いでしょう。

家でピラティスを行う際に必要なものは?

家でピラティスを行う際に必要なものは、まず専用のマットです。

ヨガのマットでも代用できますが、ピラティス専用のほうが、よりしっかりしていて肘や膝をついた時の身体への負荷を軽減してくれるのでおすすめです。また、マンションなど騒音が気になる人は5センチ以上の厚みのものを選びましょう。

服装は、動作を妨げない動きやすい服や伸縮性のある服がおすすめです。

ピラティスは心も体も良い変化をもたらす

ピラティスは、もともと怪我や持病で存分に体を動かせない方が心身を鍛えるために作られたものです。

身体を正しく動かし、深い呼吸とともに精神と身体を調和させることで、筋肉の強化や姿勢を改善させるだけでなく、心の調子まで整えてくれます。

安定した身体づくりは、活力を生みます。ピラティスをうまく日常に取り入れて、心身ともに健やかな日々を送ってくださいね。

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