マインドフルネスとは?
マインドフルネスとは、過去の経験や未来の予知、先入観といった雑念にとらわれず、「今の気持ち」「今、起こっていること」「今の体の状況」など、【今】をあるがままに受け入れ、ただ目の前に意識を向ける状態を指します。
正式名称はマインドフルネスストレス低減法と言い、心理学的治療方法の1つとされています。
たとえば、朝の食事をする時に外出する時間を気にしたり、食べた後の片付けの段取りを考えたりせずに、香りや味に集中して味わうと、今の瞬間に意識を集中している状態になります。
マインドフルネスはスピリチュアル界隈だけでなく、ビジネスシーン人材育成のために使われたり、医療分野で使われたりしています。
マインドフルネスでは、手法として瞑想が使われることが一般的です。
目次
現代におけるマインドフルネスの起源は?
現代におけるマインドフルネスは、1979年・マサチューセッツ大学の医療センターで生まれました。
マサチューセッツ大学医科大学院の教授でもあるジョン・カバット・ジン博士が、瞑想やヨガを実践してその効果を実感し、これを医療に役立てられないかと思案。
それがきっかけとなり、臨床的な技法としてMBSR(マインドフルネスストレス緩和プログラム、またはマインドフルネスストレス低減法)と呼ばれる8週間のプログラムが開発されました。
ジョン・カバット・ジン博士は、後に同大のマインドフルネスセンターの創設所長となり、MBSRを広め、その効果が科学的に実証されたことにより、国の垣根を超えて様々な医療分野で取り入られるようになりました。
マインドフルネスで期待できる7つの効果を解説
マインドフルネスには、様々な効果があると言われています。ここからは、マインドフルネスで期待できる7つの効果について、詳しく解説していきます。
集中力や記憶力が向上する
マインドフルネスでは瞑想を行ったり、目の前のことだけに集中したりするため、余計な雑念や感情を捨てて心を無にする状態を保てるようになります。
その結果、1つのことに目を向けて集中する力が向上したり、また集中力が高まることで記憶力が向上したりする効果が期待できるようになります。
集中力は瞑想を繰り返し、鍛錬を重ねることでより向上すると言われており、継続的に瞑想を行うことで、集中力や記憶力の向上を維持したり、さらにそれらの効果を高めたりすることができます。
作業スピードが上がる
主にビジネスの場におけるマインドフルネスの効果として、仕事の生産性向上が挙げられます。
人間の集中力は一般的にそれほど長続きしないうえ、たとえば電話が鳴るなど外部からの刺激により意識が途切れやすいと言われています。
しかし、マインドフルネスを行うことで集中力や記憶力といった能力が向上するため、結果的に作業スピードが上がります。
また、集中力や作業スピードが上がることで、複数の作業を同時にこなすマルチタスクにも対応できるようになります。
自己肯定感がアップする
マインドフルネスでは周囲の雑念や周りの評価、将来への不安や心配を心の中から取り除く手法のため、マインドフルネスを行うことで精神状態が安定し、穏やかな心地になることができます。
その状態で自分の内面だけに集中すると自分への理解が深まり、自分の良いところにたくさん気づくことができるため、結果的に自己肯定感がアップします。
また、自己肯定感がアップすると、さらに意欲的に活動できるようになり、より自分に自信を持てるようになります。
コミュニケーション力が上がる
悩み事やイライラを抱えている人は他人まで意識がいきにくいため、自分本位な言動になりがちです。
しかし、マインドフルネスによって精神が安定すると情緒が安定し、冷静で穏やかな精神状態で人と接することができます。
また、マインドフルネスを行うと自分や他人への理解が深まるため、円滑なコミュニケーションを行うにはどうすればいいかが分かるようになります。
「自分の気持ち」「相手が求めていること」を敏感に察し、ベストな交流方法を選択することができます。
マネジメント力が向上する
マインドフルネスを行うと精神が安定するうえ自分への理解が深まるため、感情コントロールや意識コントロールがしやすくなります。
そうすることで理想や目標のために自身の感情や行動などをコントロールするセルフマネジメント力が向上します。
また、負の感情に振り回されることがなくなることで人間関係が良好になり、チームワークも取れやすくなります。
個人個人のセルフマネジメント力が上がるとチームがまとまりやすくなり、結果的に組織的なマネジメント力の向上にも繋がります。
ストレスへの耐性が高まる
マインドフルネスは周囲の目や余計な雑念を捨て、目の前のことや自分の今に集中するため、結果的にストレスを低減させることができます。
ストレスを低減させるだけでなく、穏やかな精神状態を保つことによってリラックス状態になり、肥大すると恐怖や不安に反応しやすくなる脳の扁桃体が縮小するので、トラブルが起きたり失敗をしたりしても冷静に対処することができます。
要するに、マインドフルネスでストレス耐性自体が高まるといえます。
人への気配り・優しさが生まれる
マインドフルネスを行うと心身の状態が安定するため、心にゆとりが生まれます。
そうすると自分の身の回りのことだけで必死になっていた人も周りを見渡す余裕が生まれ、今まで気づけなかった周囲の状況がクリアに見えるようになります。
その結果、周囲の人へ気配りができるようになったり、優しく接することができるようになったり、他人に尽くしてあげられたりするようになります。
また、それにより人間関係が良好になり、よりストレスが減って精神が安定するという好循環も得られます。
マインドフルネスのデメリットとは?
マインドフルネスのデメリットとしては、自分に焦点を向けるため、強いトラウマや心の傷を抱えている場合は、それを強く感じすぎてしまうことがある点です。
うつ病やPTSDなど精神疾患を抱えている人は、さらに症状が悪化してしまうこともあるので、心当たりがある人は実践する前に必ず医師と相談しましょう。
また、マインドフルネスでは主に仏教の瞑想を行いますが、瞑想は簡単なようでいて正しく行うのは難しく、やりやすい人とやりにくい人など相性もあります。
自己流では正しい瞑想ができず、リラックスできないことも多いため、プロの手を借りるのも1つの手です。
マインドフルネスのやり方とは?
マインドフルネスは、行うやり方としては瞑想と同じです。そのため、マインドフルネス瞑想と呼ばれることもあります。
ここからは、マインドフルネスを行う3つのステップを解説していきます。
正しい姿勢で座る
マインドフルネスを行うには、深くリラックスできるよう、まずは正しい姿勢で座ることが大切です。
床に座布団などを敷き、そこにあぐらをかいて座ります。そうしたら手を膝や太ももの上に置き、手のひらを下に向けます。体勢を整えたらそのままスッと背筋を伸ばします。
目は力を入れずに柔らかく開けたまま、1.5mから2m先の床のほうを優しく見つめます。
リラックスできる自然な呼吸をする
正しい姿勢で座って落ち着いたら、次は瞑想状態を深めるための呼吸を意識していきます。
鼻からゆっくりと息を吸い、肺やお腹をゆっくりと新鮮な空気で満たすイメージで、膨らみを感じながら膨らませていきます。そして、吸った時よりも時間をかけて、ゆっくり鼻から息を吐きます。
この呼吸法を1分以上行い、深いリラックス状態を作ります。
雑念を感じても、呼吸に意識を戻す
リラックス状態になっても、慣れない間は頭の中に日常のことや心に引っかかっている不安など、様々な雑念が浮かんでくるでしょう。
雑念を捨てないと高い効果を得にくいですが、雑念を無理に止めようとすると逆に力んでしまったり、焦りが生まれて集中しにくくなったりします。
雑念がポッと生まれても気にせず、「そこに思考があるな」くらいに軽く受け止め、呼吸法に意識を戻して集中しましょう。
そうすることで、いつの間にか深いリラックス状態を作り出すことができます。
マインドフルネスと瞑想の違いは?
マインドフルネスでは手段として瞑想を行いますが、行う目的に違いがあります。
瞑想は約4500年前にブッダが生み出したもので、心を無にする状態になることを目指して編み出されました。
つまり、静かに座って精神を研ぎ澄まし、深くリラックスすることで疲れた脳を休ませることを最終目標としているのが瞑想です。
対して、マインドフルネスは、仏教瞑想を元に編み出されたストレス緩和法で、瞑想で雑念を捨ててあるがままを受け入れることで心の平穏と自信を取り戻し、効率的に活動できるようにすることが目的です。
マインドフルネスを行ううえでの注意点は?
マインドフルネスを行ううえで、いくつかの注意点があります。詳しく解説します。
目的意識を持つ
マインドフルネスは、ただ単にリラックスすることが目的となる瞑想とは異なり、ストレスを低減させることで活動的になることが目標なので、行う前に目的意識を持つことが重要です。
不安な気持ちを取り除きたい、頭の中を整理してスッキリしたい、精神状態を安定させたい、自信を持ちたいなど、目的意識を持って取り組むと効果が得やすくなります。
雑念を流す
マインドフルネスは周囲の雑音や、不安や恐怖といった自分の中の雑念を取り除いてあるがままを受け止めることで効果が得られるストレス低減法のため、頑張って長い時間瞑想をし続けていても、雑念にとらわれていてはなかなか効果を実感することができません。
意識が違うほうへ向いてしまったら、思考を緩く止め、深い呼吸に意識を戻して雑念を川に流すように緩やかに消しましょう。
呼吸に集中する
マインドフルネスを成功させるには、呼吸が大切になってきます。
私たちが何気なく行っている呼吸には、実は精神を落ち着かせる効果や、体内の循環を促進させ傷を早く治す効果など、優れた力があります。
呼吸に集中することで集中力が高まり、雑念を消して瞑想に没頭できるようになります。いったん意識が外へ反れても、呼吸を整えると再び集中できます。
マインドフルネスで心の中をスッキリさせよう
マインドフルネスを行うことで、活動的な行動を妨げる様々な不安や雑念を消し、自分の心をスッキリさせることができます。
思考をリセットすることができれば、新しい気持ちで精力的に今、目の前にあることに集中できます。
精神状態が穏やかになることで人間関係も良好になり、結果的にストレスの要因が減って、より生き生きと人生を送ることができます。