ファスティングとは?正しいやり方や効果、おすすめの期間を解説

ファスティングとは?

ファスティングとは、一定期間食事を断つ行為を指します。いわゆる断食で、英語の「fast(断食する、絶食する)」の名詞形「fasting(断食、絶食)」が由来となっています。

多くは固形の食べ物を半日から数日間程度、摂取しない方法が取られます。なかには数週間続ける人や、特定の食べ物や栄養素のみ取り続ける部分断食など様々なやり方があります。

ファスティングは近年始められたものではなく、もともとイスラム教、キリスト教などあらゆる宗教において神や信仰と繋がるための行為として断食が行われてきました。

今ではダイエット目的や、体内のデトックスや体調管理など身体を整える方法として、ファスティングを行う人が増えてきています。

ファスティングの効果とは?

ファスティングには、様々な効果があると言われています。ここからは、ファスティングに期待できる5つの効果について、詳しく解説していきます。

腸内環境が整う

ファスティングを行うと、腸内の詰まりがなくなるため、腸内環境をリセットすることができます。

他にも、食べ物の消化や栄養の吸収にあてられていたエネルギーを体内の修復などに回されるようになり、体内に滞っていた老廃物や宿便などの不要なものを排出する動きが活性化します。

また、絶食などで体内が飢餓状態になると、オートファジーと呼ばれる細胞内の浄化・リサイクルシステムが行われるため、より腸内環境の調整が進みます。

免疫力が高まる

腸内には、実は全体の約70%の免疫細胞が集まっています。

ファスティングを行うと腸内環境が改善されるため、免疫細胞を始め、体内調整に有用な細胞や菌、機能が活性化します。

また、身体にとって良い働きをするとお馴染みの善玉菌も、ファスティングによる腸内環境の改善によって活発化すると言われています。

善玉菌は身体の免疫機能を高める効果がある他、血清コレステロールを低下させる働きもあると言われています。

肌トラブルが改善する

肌荒れやニキビなどの肌トラブルは、乱れた食生活や腸内環境の悪化が原因と言われています。

特に、脂質や炭水化物を取りすぎると、体内の毒素や老廃物が排出されにくくなり、体内に滞留してしまいます。

そこで、ファスティングをして余計な脂質や炭水化物の摂取を控え、消化器官を休めると、毒素や老廃物の排出が活発になり、新陳代謝の正常化が見込めます。

結果、肌荒れを誘発する原因がなくなり、肌が美しく整っていきます。

むくみが解消する

むくみの原因は、体内の過剰な水分です。

塩分やアルコールを摂りすぎたり、血流やリンパの流れが滞ったりすることで体内に余計な水分が溜まり、むくみを引き起こします。

ファスティングをすると、腸内環境が整い新陳代謝が活性化するため、老廃物や毒素が体外へ排出されやすくなります。その結果、体内に余計な水分が溜まりにくくなり、むくみが解消されやすくなるのです。

また、むくみがひどくなると疲れやすくなるので、疲労改善効果も期待できます。

ダイエット効果にも期待

ファスティングは普段の生活よりも摂取するカロリーや脂質、炭水化物の量が大幅に減ります。

したがって、ファスティング中は体内に蓄えられている脂肪や糖質をエネルギーに変換して使うようになるため、結果的に体重の減少などのダイエット効果が期待できます。

ただし、ファスティングはあくまで腸内環境のリセットを図るものなので、体重の減少を第一目的にするのはおすすめできませんが、新陳代謝が良くなり、痩せやすい身体を作ることはできます。

ファスティングに向いている人は?

それでは、ファスティングには、どのような人が向いているのでしょうか?

  • 健康的な身体作りをしたい方
  • ファミレスやファストフードなど、外食が多い方
  • 食べすぎ・飲みすぎで食生活が乱れている方
  • 忙しくて深夜や寝る前に食事を摂ることが多い方
  • 特に原因はないのに身体がダルく、疲れやすさを感じる方
  • お腹の調子が悪かったり、便秘に悩んでいたりする方

ファスティングに向いていない人は?

一方で、ファスティングに向いていない方もいるそうです。

  • カロリーや栄養が必要な成長期の子ども(13歳以下)
  • 高齢者(65歳以上)
  • 妊娠中の方や、授乳中の方
  • 脳や心臓、肺、胃腸など内臓に疾患がある方
  • 風邪を引いている人や、闘病中の方
  • 胃腸の不調以外で、身体の調子が悪い方
  • BMIが18.5未満の痩せすぎている方

ファスティングの正しいやり方を徹底解説

ここからは、ファスティングの正しいやり方について、解説していきます。ファスティングは、いきなり食事の量を減らしたり、断食を行ったりせず、3つのステップに分けて行うのが一般的なやり方です。

ファスティングの準備期について

ファスティングは、いきなり始めると身体に大きな負担をかけてしまう恐れがあるため、身体を断食に慣らしていくための事前準備が必要です。

ファスティングの準備期では、胃に優しい食事で体内の糖を減らしていきます。

急に糖の摂取量が減ると低血糖になり、めまいや頭痛、慢性的な体調不良を引き起こす場合があるので、糖分や塩分の少ない食事で少しずつ低糖状態に慣らしていきます。

準備期におすすめの食材は、味噌汁やスープ、おかゆ、雑炊、豆腐、納豆、野菜、海藻類などです。

逆に準備期に避けるべきなのは、小麦食品、油もの、肉類、お菓子やジャンクフード、香辛料などの刺激物です。

ファスティングの実施期について

ファスティングを行う期間は、人によって様々です。

腸内環境をすっきりリセットしたいなら、腸内のものがすべて排出されるまでの数日間から2週間ほどが理想ですが、初めての人や食事を我慢するのが苦手な人は半日から始めてみるのも良いでしょう。

明確な期間を設けなくても、朝食だけ断つファスティングや、週末だけ行うファスティングなどもあるので、生活スタイルに合った方法を選んでください。

ただし、どの方法でも大切なのが、準備期と実施期を原則同期間にするということです。

また、ファスティング後は元の食生活に戻るまでの回復期も必要なので、実施する期間は余裕を持ってスケジューリングしましょう。

ファスティングの回復期について

空っぽの胃腸に急に濃い食事や固形物を入れると大きな負担がかかってしまうため、ファスティング後は断食中に休んでいた胃腸を徐々に通常の消化活動に戻すために慣らしていく必要があります。

そのため、回復期では、流動食など胃腸への負担が少ない食事を摂取するのが望ましいとされています。

最初は柔らかく炊いたおかゆや、塩分控えめのお味噌汁などにし、量も最小限の量で胃腸の様子を見ながら食べていきます。

身体は飢餓状態になると摂取した脂質や糖分を通常時よりも体内に吸収し蓄えようとするため、ここで好きなものを好きなだけ食べるとリバウンドしやすくなり、ファスティングの効果がなくなってしまうので十分気をつけましょう。

話題の16時間ファスティングとは?

昨今では、16時間ファスティングという方法が注目されています。

16時間ファスティングとは、1日24時間のうち食事をしてもいい時間を8時間以内とし、残りの16時間は何も食べずに過ごすというファスティング方法です。海外では「16:8ダイエット」とも言われています。

一般的に、睡眠時間+その前後の時間で計16時間を断食の期間にあてます。ここで気をつけたいのが、8時間の間なら何をどれだけ食べてもいいわけではなく、この時間の間に朝食・昼食・夕食の3回の食事をリズム良く摂ることが大切です。

食事内容も栄養の偏りのない、脂質の少ないものが理想です。

その他、おすすめのファスティング期間を紹介

ここからは、おすすめのファスティング期間を紹介していきます。それぞれの期間で現れる効果は多少変わってきますので、自分の好みに合わせて、無理なくファスティングを始めてみてください。

実施期1日ファスティング

実施期1日ファスティングの場合、準備期1日、実施期1日、回復期1日のトータル3日間のスケジュールになります。

人によっては1日だけのファスティングでも変化が見られ、体重が減ることもあるようです。

1日ファスティングは週末だけで行うことができるため、仕事が忙しい人や、ファスティング初心者の方、また長時間の断食に自信がない方におすすめです。

実施期2日ファスティング

実施期2日ファスティングの場合、準備期2日、実施期2日、回復期2日のトータル6日間のスケジュールになります。

2日間は固形物を取らず、基本的に水で、あとは酵素ドリンクなどで調子を整えながら過ごします。

脂肪分解にかかる時間は3日以降と言われているため、実際にファスティングの効果がグンと出るのは3日目からと言われています。

そのため実施期2日ファスティングは、もっと本格的なファスティングを目指す方の足がかり的な方法になります。

実施期3日ファスティング

実施期3日ファスティングの場合、準備期3日、実施期3日、回復期2日のトータル8日間のスケジュールになります。

前述した通り、体内の脂肪分解が期待できる本格的なファスティング方法になります。2日から3日に空腹が最も辛く感じられるため、ファスティング中級者以上におすすめの方法となります。

3日目を乗り切れれば、体内の脂肪がエネルギーに変換されるため、体重だけでなく体脂肪率も下がっていきます。

実施期5日ファスティング

実施期5日ファスティングの場合、準備期5日、実施期5日、回復期2日のトータル12日間のスケジュールになります。

3日目から脂肪分解が始まり体内の脂肪がエネルギーに変換されるため、より多くの脂肪や老廃物が昇華・排出されることとなり、体重・体脂肪率・お腹のでっぱりなどに変化をはっきりと感じられる人が多くなります。

なお、ファスティングが5日間以上になると体調を崩す方もいるので、準備期間から回復期間までしっかり体調管理ができる人に向いています。

ファスティングする時の注意点は?

ファスティング中は水や酵素ドリンクのみの摂取となるため、栄養不足になりがちです。そのため体の調子を崩さないよう、ミネラルと水分の補給に気を配りましょう。

水分は断食中の大切なエネルギー源となります。他で栄養を補えないぶん、いつもより水分が不足しやすくなるので、意識的に多めに接種しましょう。コーヒーなどに含まれるカフェインは水分を排出してしまうので控えてください。

また忘れがちなのがミネラルです。ミネラルが不足すると倦怠感や頭痛を引き起こし、通常の生活が困難になる場合もあるので十分気をつけましょう。

ファスティングで健康的な体作りを

ファスティングには、体重を減らすだけでなく、腸内環境や新陳代謝を改善する効果があります。

食べ物を断つと逆に健康的な体作りができるというのは不思議な感じがしますが、それだけ普段の生活で余計なものを摂取しすぎているということなのです。

ファスティングは半日からでも効果が期待できるので、身体のダルさや不調が取れない方は、やりやすい方法から始めてみてはいかがでしょうか。

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