寒中見舞いとは?
寒中見舞い(かんちゅうみまい)とは、寒い季節にお世話になった人や親しい人に送る挨拶状です。
もともと寒中見舞いは、暑い時期に送る暑中見舞いと同じように、相手の健康や近況を気づかいながら送る挨拶状として始まった風習でした。
しかし、今では単なる冬の挨拶状としての意味だけではありません。
年賀状を送りそびれたことに対するお詫びや、自分や相手側が喪中の場合の年賀状の代わりの挨拶、故人宛ての年賀状に対する返礼、喪中の欠礼として使われることの方が一般的になってきました。
また、お歳暮時期を逃した際に、お歳暮代わりの品物と一緒に送る挨拶状として寒中見舞いを添えるケースもあります。
ちなみに、年賀状をすでに送っている場合でも寒中見舞いの送付は可能です。
目次
寒中見舞いを出す時期は?
寒中見舞いを出す時期は、昔から「松の内が終わってから立春まで」と言われています。
松の内とは、お正月に門松などを飾る期間のことで、地域によって異なりますが、関東では1月7日、関西では1月15日のところが多いです。
立春とは、暦で春の始まりとされる日で、毎年日にちが変動しますが、毎年2月4日頃にあたります。
届くタイミングを考えると、投函するのは遅くとも1月末までが良いでしょう。
寒中見舞いと余寒見舞いの違いは?
寒中見舞いに似ている挨拶状に「余寒見舞い(よかんみまい)」があります。
こちらも文字通り寒い時期に出す書状ですが、送るタイミングが異なります。
余寒見舞いを出すのは、一般的に寒中見舞いの時期である立春以降から2月末日とされています。寒い地域では余寒の時期が長いので、3月中旬頃まで出されることがあります。
立春までに寒中見舞いが間に合わなければ、余寒見舞いを送りましょう。
内容としては寒中見舞いと同じく相手を気づかいながら自分の近況を伝えるものになります。ただし、言葉だけ「余寒お見舞い申し上げます」となるので、注意しましょう。
基本的な寒中見舞いの構成
寒中見舞いの基本的な構成は、下記の通りです。
- 寒中見舞いなど時候の挨拶
- 相手を気づかいながら健康や近況を伺う文章
- 年賀状やお歳暮に対するお礼とお詫び
- 自分の簡単な近況
- 締めの挨拶
- 日付
使用するはがきはどんなものでもOKというわけではなく、年賀はがきを使うのはマナー的にNGですので気をつけましょう。
通常はがきや私製はがきを使うのが一般的で、冬の季節の花や雪だるまなど、冬にまつわるデザインが入ったはがきがよく使われています。
また、自分や相手が喪中の場合は、おめでたい絵柄や言葉が入ったはがきは避けましょう。喪中はがきのように控えめな絵柄で、落ち着いた色合いのデザインを選ぶのがおすすめです。
【シーン別】寒中見舞いの文例
ここからは、寒中見舞いの文例に関しまして、シーン別に紹介していきます。
一般的な寒中見舞い
まずは本来の役割である、寒中のご機嫌伺いや季節の挨拶をするための寒中見舞いのケースを紹介します。
この場合、寒中見舞いが年賀状の代わりにもなります。近年では年賀状を廃止している企業も少なくないため、ビジネスにおいてのコミュニケーションツールの1つとして寒中見舞いを出す人もいます。
他にも、お歳暮を贈りそびれた人が、プレゼントとともに年始の挨拶とご機嫌伺いを書いた寒中見舞いを添えるケースもあります。
「一般的な寒中見舞い」文例①
寒中お見舞い申し上げます
厳寒の折 ますますご健勝のこととお喜び申し上げます 折を見て ゆっくりとお目にかかりたいと思っております おかげ様で私どもも変わりなく過ごしております 世間では流感が猛威を振るっております どうかくれぐれもご自愛のほどお祈り申し上げます 令和○○年 ○月 |
「一般的な寒中見舞い」文例②
寒中見舞い申し上げます
寒い日が続いていますが お元気ですか 我が家では 寒さのあまりにみんなこたつに集合して 暖かくなって桜が咲く時期になったら その日を楽しみにしていますね 令和○○年 ○月 |
自分が喪中の場合
自分が喪中の場合は、年賀状の代わりに寒中見舞いを出して新年の挨拶と代えることができます。
喪中はがきを出すのが間に合わず相手から年賀状を受け取った場合や、喪中であることを伝えていなかった相手から年賀状が届いた場合は、まずは年賀状のお礼を述べてから喪中であることを報告し、喪中の知らせが遅れたことや年賀状を出せなかったことのお詫びを綴ります。
夫婦連名の場合、故人との続柄は夫から見た続柄を記載するので注意してください。
自分が喪中の場合に送る寒中見舞いの構成は下記の通りです。
- 寒中見舞いの言葉
- 相手の健康や近況を伺う文章や、自身の近況報告
- 新年の挨拶を控えたことへのお詫び・喪中はがきが遅れたお詫び
- 締めの挨拶
- 日付
「自分が喪中の場合」文例①
寒中お伺い申し上げます
ご丁寧なお年始状をいただき ありがとうございました 昨年祖父が永眠いたしましたので 年頭のご挨拶を控えさせていただきました 欠礼のお知らせも申し上げず 大変失礼いたしました 冷え込みが厳しい今日この頃 ご自愛くださいますようお祈り申し上げます 令和○○年 ○月 |
「自分が喪中の場合」文例②
寒中見舞い申し上げます
寒気厳しき折でございますが 皆様にはお変わりございませんか 実は昨年 私どもの祖父が亡くなり 新年のご挨拶を控えさせていただきました 旧年中にお知らせ申し上げるべきところ 本年も変わらぬお付き合いのほど よろしくお願い申し上げます 令和○○年 ○月 |
喪中の方へ送る場合
喪中はがきに対する返事は出さなくてもマナー的には問題ありませんが、年賀状に代わる年始の挨拶として寒中見舞いを出すと丁寧です。
また、寒中見舞いは喪中でも送ることができるため、喪中の方へのご挨拶やお悔やみの言葉を贈るのに最適な書状といえます。
構成としては、基本的に下記の通りです。
- 寒中見舞いの言葉
- 相手の健康や近況を伺う文章や、時候の挨拶
- 故人を偲ぶ言葉や相手を気づかう文章
- 締めの挨拶
- 日付
「喪中の方へ送る場合」文例①
寒中見舞い申し上げます
服喪中のことと存じ 年始のご挨拶は遠慮させていただきましたが ご家族の皆様はさぞお力落としのことと存じます まだまだ厳しい寒さが続きます お身体を大切にされますようお祈り申し上げます 令和○○年 ○月 |
「喪中の方へ送る場合」文例②
寒中謹んでお見舞い申し上げます
この度はご服喪中と存じ上げなかったとはいえ ○○様(故人の名前)が御逝去なさって 心よりご冥福をお祈りするばかりです まだまだ厳しい寒さが続きますので どうぞご自愛くださいませ 令和○○年 ○月 |
年賀状を出し忘れた場合
年賀状を出し忘れた場合、またはもらった年賀状の返礼が遅れてしまった場合も寒中見舞いが使えます。
基本的には、季節の挨拶の文章に加えて、年賀状を頂いたお礼や新年の挨拶を送れたお詫びを入れます。
ただし、すでに年賀状をもらっている場合は相手の近況を伺う言葉は避けましょう。
親しい相手であればそれほど形式を気にしなくても大丈夫ですが、一般的には下記の通りになります。
- 寒中見舞いの言葉
- 挨拶が遅れたお詫び
- 近況
- 締めの言葉
- 日付
「年賀状を出し忘れた場合」文例①
寒中お見舞い申し上げます
新春を迎え お健やかな日々をお過ごしのこととお喜び申し上げます この度はご丁寧な年賀状を頂きまして誠にありがとうございました お礼のご挨拶が遅れてしまい大変申し訳ございません おかげさまで家族一同 元気に暮らしております 本年もどうぞよろしくお願いいたします 令和○○年 ○月 |
「年賀状を出し忘れた場合」文例②
寒中謹んでお見舞い申し上げます
年末遅くまで多忙につき 新年のご挨拶が遅くなり 大変失礼いたしました 遅ればせながら新年のご挨拶を申し上げます 皆様お変わりなく 良いお年を迎えられましたご様子 心からお喜び申し上げます 私どもも変わらず元気に過ごしております 今年も変わらぬお付き合いのほど どうぞよろしくお願いします 令和○○年 ○月 |
結婚や引っ越し報告をかねて
寒中のお見舞いに加えて、結婚や引っ越しなどの報告をするパターンもあります。
結婚や引っ越しなどのお知らせは、完了してから1ヶ月から3ヶ月以内を目安に送るのが理想と言われています。
最近では年賀状で同時に報告するパターンが多いですが、年賀状での報告が間に合わなかった場合は、寒中見舞いで季節のご挨拶をかねて報告すると丁寧です。
わざわざ結婚や引っ越しの報告だけするのも気が引ける…という場合も、寒中見舞いなら送りやすいでしょう。
「結婚や引っ越し報告をかねて」文例(結婚)
寒中見舞い申し上げます
寒さが厳しき折 いかがお過ごしでしょうか 私事ですが、この度○月○日に結婚いたしました お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください 未熟な二人ですが 今後もご指導のほどよろしくお願いします 令和○○年 ○月 自分の氏名・住所・電話番号など |
「結婚や引っ越し報告をかねて」文例(引っ越し)
寒中見舞い申し上げます
立春とは名ばかりの寒い日が続きますが いかがお過ごしでしょうか 私事で大変恐縮ですが 昨年○月に転居し、新しい住まいで新年を迎えました お近くまでお越しの際はぜひお立ち寄りくださいませ 寒さ厳しき折 ご自愛のほどお祈り申し上げます 令和○○年 ○月 自分の氏名・住所・電話番号など |
寒中見舞いを出す際のマナー・注意点
寒中見舞いを出す時は、新年を祝う言葉など、おめでたい意味に繋がる言葉の使用は避けましょう。
年始の挨拶とはいえ「明けましておめでとうございます」とは言わないよう、気をつけましょう。
年賀はがきや、干支・縁起物のイラストの入ったはがきを使うのもNGです。
また、寒中見舞いの場合「拝啓」「敬具」といった文頭の挨拶文は不要です。
書き方も、基本的には縦書きで書きます。縦書きの場合、日付などの数字は漢数字で書くのがマナーとされているので覚えておきましょう。
また、寒中見舞いは句読点はつけないことが一般的とされています。
最後に、寒中見舞いの形態は特に決まっていないため、メールや電報でも問題ありません。フォーマルなシーンなら電報がおすすめです。
いつもお世話になっている人に心を込めて寒中見舞いを
ビジネスシーンから親しい間柄まで、そして、喪中でも気軽に送ることができるのが寒中見舞いです。
昨今では、はがきを送る機会が減っているからこそ、送られると特別感があって嬉しいもの。
年賀状を出しそびれたり、喪中で送れなかったり、また間違って喪中の方に送ってしまった場合などの失敗をフォローしコミュニケーションを円滑にする書状でもあるので、ぜひ、この記事を参考にして寒中見舞いを活用してみてくださいね。