法事とは？
法事とは『仏教法事全般』を指す、仏教行事の総称です。
つまり、葬儀や命日の法要だけでなく、彼岸やお盆の供養といった仏教行事のほか、その際に行われる関係者との会食も含めて法事と呼ばれます。
ちなみに、法要を行った後に僧侶や参列者を招いて行う会食を「お斎（おとき）」と言います。
法事は主に故人を供養する仏教行事ですが、遺族や故人と所縁のある参列者が故人を偲び、冥福を祈ったり思い出を振り返ったりする大切なひとときでもあります。
また、法事の場を借りて僧侶から説法を聞く貴重な機会ともいえます。
目次
法要とは？ 法事との違いは？
法要は法事（仏教行事）の1つを表し、法要では焼香や読経をし、故人を供養するための宗教的な儀式を行います。
つまり、一般的に法事というイメージがついているのが法要といえます。
もともと法要には、故人の供養だけでなく、僧侶が仏教の教えを広める目的も担っていました。そのため、法要は亡くなってから一度だけではなく、複数回にわたって執り行われます。
法要には日単位で行う「忌日法要」と、年単位で行う「年忌法要」の2種類があります。特に忌日法要はスパンが短いので、事前にスケジュールをしっかり組んで準備をする必要があります。
法事の種類、行う時期を解説
ここからは、法事の種類や行う時期について、詳しく解説してきます。
忌日法要について
法要は亡くなった日を起点に、初七日から七七日（49日）までの全7回行うのが一般的です。これを忌日法要と言います。
- 初七日（7日目）
- 二七日（14日目）
- 三七日（21日目）
- 四七日（28日目）
- 五七日（35日目）
- 六七日（42日目）
- 七七日（49日目）
- 百カ日（100日目）
七日単位で法要をするのは、仏教が生まれたインドにある、輪廻転生の思想によるものです。
よく聞く「49日」は仏教の考え方で、49日までは死者の魂が成仏をせずに地上を彷徨っているとされています。そのため七日単位で追善供養を行うのです。
最近では葬儀が終わってから、またすぐ初七日に親族を集めるのは大変なため、葬儀の後に続けて初七日法要を行うケースが多いです。
年忌法要について
年忌法要は、一周忌以降に定められた年の命日に執り行う追善供養を指します。年忌法要は七単位ではなくなり、三と七がつく以下の13回忌に執り行われます。
- 一周忌
- 三回忌
- 七回忌
- 十三回忌
- 十七回忌
- 二十三回忌
- 二十七回忌
- 三十三回忌
- 三十七回忌
- 四十三回忌
- 四十七回忌
- 五十回忌
- 百回忌
この中でも特に一周忌は大切な法要とされ、葬儀と同様しっかり執り行われ、遺族や生前に故人と所縁のあった人が参列します。
年忌法要も忌日法要と同じく僧侶に読経をしてもらい、参列者がお焼香を行って故人を供養し、その後食事会を開くのが一般的です。
また、最近では多くの人に集まってもらうのが難しいため、法要は七回忌や十三回忌、十七回忌までとするパターンも多いです。
開眼法要について
開眼法要とは、お墓を新しく建立したり、仏壇や位牌を新調したりした際に行われる法要を指します。
開眼とは、新しい仏像や位牌に対して最後に目を入れ、仏の魂を迎え入れる儀式のことを言います。
新しい仏具には最初魂が入っていないため、開眼法要を執り行うことで、仏や故人の魂が宿るとされています。そのため、別名「入魂式」「お性根入れ」とも呼ばれます。
開眼法要は他の法要と比べて参列する機会が極端に少ないため、貴重な方法の1つといえます。
開眼法要では僧侶に読経をしてもらい、お墓の前に祭壇を作って供物やロウソク、お焼香をする香炉を並べるのが一般的です。
納骨法要について
納骨法要は、故人の遺骨をお墓に埋葬する際に執り行う宗教儀式です。
一般的には忌明けに行う法要でしたが、近年ではお墓が決まっていなかったり、故人との別れを惜しんだりといった諸事情により、百か日法要や一周忌などの区切りに執り行うパターンが多いです。
納骨はいつまでにしなければならない、といった規則はなく、遺族や親族の準備が整えば基本的にはいつでも大丈夫ですが、遅くとも三回忌までに済ませるのが良いと言われています。
ちなみに、新しく建立したお墓に納骨する場合は、納骨法要と開眼法要を同時に執り行います。
法事の流れを解説
ここからは、法事の流れについて、詳しく解説してきます。
法事までの準備
まずは法事の日程を決めます。多くの人に集まってもらうことになるので、参列者ができるだけ参加しやすいよう休日に設定するケースが多いです。
七日（7日後）、一周忌（最初に迎える命日）など区切りの日は決められていますが、必ずしもその日にしなければならないというわけではなく、「その日までに」執り行えばOKです。
次は法要を行う場所や会食の会場の確保、料理の手配を行います。法事用の精進料理があるので、お店で法事用と伝えましょう。
日程と場所が決まったら、お寺に連絡をします。僧侶がいないと法要が執り行えないため、できるだけ早めに連絡を入れましょう。
日程が確定したら参列者に案内状を出し、当日渡す引き出物を手配します。
また、当日までに僧侶に渡すお布施とお車代も用意しておきましょう。
法事当日
法事当日の流れは、宗派や地域によって異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
一般的な流れとしては、まずは僧侶以外の参列者が会場に入り、席に座ります。事前に仏前に僧侶の席（座布団または椅子）を用意し、僧侶が来られたらそちらに案内します。
施主が挨拶をし、法要を開始します。僧侶がお経をあげるのにともない、参列者も読経をし、故人の供養を祈ります。
読経の後半で参列者の焼香が始まります。施主をスタートとし、故人の配偶者や親・子など故人と関係の深かった人から順に焼香をします。
読経・焼香が終わったら、僧侶による法話を拝聴します。僧侶が退場してから参列者が退場します。
会食をする場合は続けて会食の会場に入ります。会食は施主の挨拶と献杯でスタートし、最後は施主が閉式の挨拶をします。
参列者のお見送りの際に返礼品を渡したら終了です。
法事にふさわしい服装とは？
法事は弔事のため、一般的には「喪に服す」という意味がある喪服に身を包みます。故人を偲ぶために着る服のため、派手なものや光っているものはNGです。
男性なら光沢のないブラックスーツに白無地のシャツ、黒無地のネクタイと靴下を着用します。
女性なら肌の露出が少ないスーツやワンピースなどの黒色のフォーマルスタイルが一般的です。アクセサリーは真珠であればOKですが、「不幸が重なる」を連想させる2連、3連のものは控えましょう。
男女ともにバッグや靴は光沢のない黒色のシンプルなものを選びましょう。
七回忌の法要以降は、「平服で」と施主から言われる場合があります。ただ平服は普段着ではなく、略喪服を指すため、喪服かブラックフォーマルのものを着用しましょう。
子どもの場合は制服が正装になります。
法事に参列する際のマナー
法事などの弔事は事前準備する猶予が少ないケースが多いため、日頃から法事に参列する際のマナーを知っておくことが大切です。
香典の金額、不祝儀袋の表書き、香典の渡し方、または法事のお手伝いの有無など、宗派や地域によって細かな違いがあるため、親兄弟に自分たちの宗派・地域ではどのように執り行っているのか、事前に聞いておきましょう。
特に喪服や靴・バッグは急に用意するのは難しいため、万が一に備えて事前に用意しておくと慌てることがありません。
ただ、法事に参加する準備品をすべて揃えていると「不幸を待っている」と縁起が悪いことされる場合もあるので、たとえば不祝儀袋に使う筆ペンなどすぐに買えるものはあえて購入しないようにしましょう。
まとめ
法事では故人が亡くなられてから特に49日までの法要が多いため、スムーズに執り行えるよう、事前準備をしっかり行うことが大切です。
この記事を参考に、事前に確認しておくべきこと・用意しておいたほうが良いものをチェックしておくと、いざという時に慌てずに済むでしょう。
法事は故人を偲ぶ最後の貴重な場です。時間的にも心にも余裕を持って、参列できるようにしておきましょう。
