結納とは?費用の相場や顔合わせ食事会との違い、結納の流れを解説

結納とは?

結納とは、日本の伝統的な婚約の儀式を指します。

結婚は本人だけでなく家同士の結びつきが生まれますから、「結ぶ」という漢字の通り、新郎新婦の婚約の約束を両家の親族が出席して公のものにするという意味合いがあります。

本来であれば仲人が結納の進行を取り仕切るのですが、最近では家族以外の人に仲人を頼むことを迷惑と捉え控えるところが多く、両家の親と新郎新婦が出席して本人たちだけで結納を行うのが一般的になっています。

結納では、婚約の証として金品の受け渡しを行います。男性側の親が結納品結納金を持参し、女性側に贈られます。

結納品には婚約を祝う縁起物が選ばれ、長寿を願う食べ物や扇子、結婚式の仕度料など5品から9品を贈るのが一般的です。

「正式結納」と「略式結納」とは?

結納は時代の流れに合わせ、本人たちのやりやすい形に簡略化されていきました。現在では「正式結納」と「略式結納」の2つのスタイルがあります。

「正式結納」は、仲人が両家を行き来して行う伝統的なスタイルで、両家と新郎新婦が顔を合わせないのが特徴です。

仲人には上司や恩師、地元の名士など、社会的に信頼のある目上の人が選ばれます。

仲人が男性側から受け取った結納品を女性側に届け、女性側が仲人をもてなしつつ、受け取ります。そして受け取った証である「受書」を仲人に預け、それを男性側に届けてもらいます。

「略式結納」は、料亭やホテルに両家が集まり、結納品の授受を行うスタイルです。仲人を立てないのが一般的ですが、仲人を立てる場合もあります。

顔合わせ食事会との違いは?

「結納」と「両家の顔合わせの食事会の違い」は、一言で説明すると「格式の高さの違い」になります。

  • 顔合わせ食事会の場合
  • 顔合わせの食事会は両家の親睦を深めるという目的で行い、両家のみで行うことが主流です。

    服装に関しては、特に決まりがありませんが、スーツやワンピースなどセミフォーマルな服装であることが多いです。

  • 結納の場合

結納は結婚の公式な約束となります。結納後の食事会は最近では両家のみで行うことも増えていますが、本来であれば仲人や司会による進行で行われます。

結納品の受け渡しや口上など、伝統的なしきたりにしたがって厳かな雰囲気で行われます。

服装に関しては、女性側や両家の両親が着物を着用するのが一般的です。

結納の由来は?

結納の歴史は、4世紀から5世紀の古墳時代に遡ります。

仁徳天皇の皇太子が結婚した際、納采(贈答)をしたことが結納の始まりと言われています。これは宮中儀礼の1つとなり、今でも皇室の人間が結婚する際は「納采の儀」が行われます。

平安時代になると結婚は通い婚となり、結婚を申し込む際に男性側が女性側の家に手土産としてお酒や肴を持参し、一緒にそれを食べることで結婚となりました。その持参品を「ゆいのもの」と読んだことが、結納の語源とされています。

こうした皇室や貴族の結婚の儀式が江戸時代に入り徐々に広まり、明治時代には一般家庭にも定着しました。当時は見合い結婚が主流だったため、結納をまとめる仲人役が存在したのです。

結納を行うタイミングは?

結納は婚約を締結させる公の儀式ですので、入籍前に行うのが基本です。

一般的には、新郎新婦2人の結婚の約束であるプロポーズの後に、両家へ結婚の挨拶に伺い、そして結納をして結婚・入籍という流れになります。

結納を行うタイミングについて明確なしきたりなどはありませんが、結婚式を行うとなると準備に忙しくなるため、遅くとも結婚・入籍の3ヶ月から6ヶ月前には済ませておくことをおすすめします。

結納をしたらすぐに結婚式を挙げなければならない、入籍をしなければならないということもありませんので、できれば結婚が決まったら早めに結納を済ませたほうが良いでしょう。

結納の流れをわかりやすく解説

ここからは、結納当日に向けての準備や、結納当日の流れについて、わかりやすく解説していきます。今回は「略式結納」のケースを想定しております。

結納の準備について
  1. 日取りを決める
  2. 両家の話し合いで結納をすることが決まったら、まずは日取りを決めましょう。日取りを決めるうえで大切なのは、お日柄です。

    最近では2人や両家の都合が優先されることもありますが、やはり婚儀に関係するものは縁起が良い日柄が喜ばれますので、なるべく厄日とされる仏滅や赤口は避けたほうが無難です。

  3. 場所を決める
  4. 結納品の受け渡しがありますので、結納品を並べられる個室があるところがおすすめです。

    そのまま食事会に移行できるよう料亭を選ぶ場合もありますし、ホテルで1室を借りて結納を済ませてから、その部屋もしくはホテル内の食事処で食事会をするケースもあります。

    なお、料亭やホテルには結納プランを取り扱っているところもあるので、それを利用するのも良いでしょう。

    場所については、移動時間の不公平がないよう、両家の中間地点にするのが一般的です。

  5. 結納品を用意する
  6. 結納品は寿留女、子生婦、友白髪など5品、7品、9品の奇数で揃えます。最近ではデパートなどで結納品セットが用意されているので、それを使うと便利です。

  7. その他、結納金と結納返し、婚約記念品、結納の目録受け取りを証明する受書、そして相手への心づかいとして手土産を用意しておきましょう。
結納当日の流れ

ここからは、一般的な略式結納の当日の流れを紹介します。

  1. 結納品の飾り付け
  2. 床の間があれば床の間に、なければ毛氈を敷いた台座に並べます。先に女性側が結納返しを飾り、その後、女性側が退室をしている間に男性側が結納品を並べます

  3. 両家全員着席する
  4. 結納品が飾られた床の間もしくは台座に向かって左が男性側、右が女性側の席となります。

    本来であれば上座は年長者ですが、結納の場合は新郎新婦が床の間に一番近い席に座ります。

  5. 略式結納を始める

進行は、仲人の代わりに男性側の父親もしくは新郎本人が行うのが一般的です。

・進行役が最初の挨拶の口上を述べます。
男性側の結納品を女性側に納めます。
女性側が目録を改め、受書を男性側に渡します。
女性側が結納返しを男性側に納めます。
男性側も同じく目録を改めたら、女性側に受書を渡します。

地域によっては、この次に婚約記念品として結婚指輪のお披露目をします。関西の地域では婚約指輪は正式な結納品の1つとなりますので、用意すべきか事前に確認しておきましょう。

最後に男性側の父親がお開きの口上を述べ、女性側の父親が返礼の口上を述べたら終了です。

結納の身だしなみについて

結納時の服装は、正装もしくは準正装が基本です。

一般的には女性が振り袖、男性は礼服(ブラックスーツ)や略礼服(ダークスーツ)が多く、その時は両家の母親は色留袖、父親はブラックスーツで揃えます。

なお服装に関する絶対的なルールはないため、セミフォーマルな服装でも問題ありません。とはいえ節目の大切な儀式ですので、きちんとした上品なワンピースやスーツスタイルで望みましょう。

アクセサリーは、洋装の場合、真珠など品のあるものを選び、男性側もネクタイは白などめでたい色にしましょう。

もっとも大事なことは、両家で服装の格を合わせることです。一方がラフなスーツで、一方が振り袖では釣り合わないため、事前に両家で相談するようにしましょう。

結納返しについて

何かお祝いをいただいたらお返しをするように、結納でも結納品を受け取った女性側が結納返しを用意します。

以前は結納式の後日に女性側から男性側に贈られていましたが、今では結納式の当日に贈ることがほとんどです。

略式が一般的になってからは、地域によっては結納返しの風習がないところもあるため、事前に両家で話し合っておきましょう。

用意する場合は、基本的には男性の衣服代の名目となる「袴料(はかまりょう)」を包みます。袴料のみ、袴料+贈り物、または贈り物だけのパターンもあります。

いずれにしても、男性側からもらう結納品・結納金より控えめな内容にするのがマナーです。

結納の費用の相場は?

結納を行う場合、結納品や結納金、結納返しに加えて、結納式を行う式場代や食事代がかかります。

結納品は5万円から15万円ほどが相場になります。地域によって5品、7品、9品と品数も変わります。

結納金は100万円から150万円が相場で、もっともポピュラーなのが100万円です。銀行で100万の新札をおろすと帯付きでもらえるので、見栄えも良くなります。

地域によって異なりますが、お祝いのため、キリのいい数字の金額を贈る傾向があります。少し高額ですが、結納金を結婚式代や新居代など結婚資金に充てるケースが多いです。

結納返しは結納金の1割から5割、もしくは地域によっては不要のところもあります。

式場代は場所にもよりますが、食事を含むと5万円から20万円ほどになるところが多いようです。

結納にまつわるQ&A

ここからは、結納にまつわるQ&Aを解説していきます。

結納に関して、両家で意見が異なる場合は?

両家が近ければある程度、風習は同じ可能性がありますが、遠方の場合、風習やしきたりが異なることは当然あります。

特に関東式関西式では大きな違いがあり、結納品を贈り合ったり女性側が受け取るだけだったりとやり方が違うので、新郎新婦2人だけでなく、両家の意思を確認してどちらの形に合わせるか決めましょう。

大体の方向性が一緒でも、細かなところでこだわりが違うということもあるので、2人のめでたい門出が気持ちの良いものになるよう、なるべく1つ1つ細かく事前に打ち合わせをしておくことが大切です。

仲人は立てたほうがいい?

前述したように、正式な結納では仲人を立てて儀式を行います。ただし、最近では両家のみが出席する略式が主流となっているため、無理をして仲人を立てる必要はありません

ただ、仲人を立てると司会進行役を担ってもらえるので助かる他、結納のやり方について両家で食い違いが発生した時に仲介役として間に入ってとりまとめてもらえます

仲人を立てる時は昔から上司や恩師、地元の名士などが選ばれてきましたが、仲人は結婚式や結婚後も新郎新婦に目をかけ相談役になってくれる場合もあり、今では新郎新婦本人のどちらかが良く知っていて、2人が理想とする夫婦を選ぶ傾向があります。

結納は地域によって違いはある?

結納の方法は、これまで説明してきたように、地域によって違いがあります。

特に関東と関西では大きな違いがあり、関東では結納品を贈り合う風習がありますが、関西では結納品を贈るのは男性側のみになります。

また結納品の飾り方にも違いがあります。関東のほうがシンプルで、1つの台座に7品から9品を乗せます。関西の場合は1つの台座に1つの結納品を飾るため、とても豪華な見栄えとなります。

また、関西では婚約指輪も結納品の1つとなります。

他の地域にも独特な風習があります。たとえば九州では御知家としてお茶を用意したり、酒や鯛二尾を持参したりする風習があります。

両家の地域が異なる場合は事前に話し合いましょう。

結納は2人にとっても両家にとっても大切な思い出に

結納は、結婚式に並ぶ大切な節目の儀式です。

2人の新生活が順風満帆なものとなるよう、結納を通して、これからお互いの家族となる両家との親睦や絆を深めましょう。

結納は格式高いお祝いの儀式ですが、形式にこだわりすぎることはありません

無理を強いてモヤモヤが残らないよう、本人たちや両家が幸せになるような場を作ることを優先しましょう。

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