
断食とは?
断食とは、修行・祈願などの目的のために、一定期間、自発的に食物を断つ、というのが本来の意味です。
現代では、英語のfast(ファスト)にちなんでファスティングとも言われており、最近はこちらのほうが耳慣れているかもしれません。
断食の目的は、一定期間食事を抜いたり、制限したりすることで乱れてしまった食生活により疲労した内臓を休ませ、体を正常なリズムに戻すことです。
断食を行う期間は半日から数日間というものが多いのですが、断食の専門家や、医師の指導・管理のもとに数週間行う場合もあります。
その内容も、完全に飲食を断ってしまうややハードなものから、ファスティング専用のドリンクで必要な栄養を取りながら行うものまで様々です。
目次
断食の効果とは?
断食には、様々な効果があると言われています。ここからは、断食に期待できる効果について、詳しく解説していきます。
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腸内環境が整う
断食すると胃腸が働かずに済むので、腸内環境が整うと言われます。
飽食の時代と呼ばれる現代では、私たちは意外と飲食している時間が多くなっています。食べすぎや飲みすぎ、不規則な食事などで食生活が乱れていると、胃腸が常に働き続けなければいけないために、大きな負担がかかり、腸内に悪玉菌が増殖しやすくなります。
しかし、断食中は消化活動が行われないので、ゆっくり休むことによって胃腸が回復し、腸内環境が整うというわけです。
免疫力が高まる
断食をすると腸内環境が整うため、免疫力が向上すると言われます。
断食をすると、飲食物が体内にほとんど入ってこず、胃腸などの消化器官はゆっくり休むことができます。その間に、日常の消化活動により疲弊して、悪玉菌が増えがちになっていた腸内環境が改善されていきます。
70%もの免疫細胞が集中していると言われる腸内の環境が整えば、当然のことながら免疫機能が向上し、免疫が高まります。
ただし、適切な管理の下で行う必要があります。
体内のデトックス
断食をすると老廃物の排出が促進され、デトックスができると言われます。
断食によって飲食をしないでいれば、消化器官はゆっくり休むことができます。そして、食べ物が入ってこなければ消化に力を注ぐこともないため、排出に力を入れるようになっていきます。
胃腸が休めば腸内環境も改善されるため、腸内の老廃物がどんどん排出されるようになります。その結果として便秘が改善され、腸内環境の悪化を原因としていた肌荒れなども解消されます。
ダイエット効果にも期待
断食をすると溜め込んだ脂肪や糖質が消費され、ダイエット効果が得られると言われます。
断食をして新たなエネルギーが入ってこなくなれば、体は飢餓状態になります。そうすると、自分の体に蓄えられている脂肪や糖質をエネルギーとして使い始めるため、比較的短い期間で体重を減らす効果があります。
おなかが空きそう、と思うかもしれませんが、普段からおなかいっぱい食べている人だと、1日目は使うエネルギーがたくさんあるので案外平気なようです。
断食に生じるリスクとは?
断食で生じるリスクには、摂取カロリーの急激な減少による体調不良が一番に挙げられます。
食事を抜くと、当然ながら体は一時的にエネルギー不足を感じます。おなかが空きすぎて体調が悪くなった経験がある人も多いでしょう。
特に普段から常に何かを食べている人はどうしても頭痛やめまい、吐き気を感じたり、体のだるさを感じたりしやすい傾向があります。
また、エネルギー不足により集中力や注意力が低下することもあります。血糖値の低下によるイライラなども気になります。
さらに、断食後は急激に食生活を戻してしまうと、体が効果的に栄養を摂取しようとするため、せっかく?せたとしてもリバウンドしやすくなるのもリスクの1つだといえます。
断食の正しいやり方を解説
断食のやり方はとても簡単に言ってしまえば、一定期間食事を抜くというものです。しかし、それも朝食だけ、夕食だけを抜くといった1食のみの断食から、週末3日ほど飲食をほとんどしないというものまであります。
全く食べない断食もあれば、酵素ドリンクのような、必要な栄養素だけは取りながら行う、というようなものもあります。
自分が無理なくできるものはどれかをきちんと考えて選んでみてください。
また、本格的に断食を行う場合には医療機関に相談したり、「断食道場」と呼ばれるような専門的な施設に行ったりして断食を行うという方法もあります。
専門家の指導のもとで健康的に行えること、仲間がいることもあってうまくいく人も多いようです。
16時間断食(オートファジーダイエット)とは?
16時間断食(オートファジーダイエット)とは、体の古い細胞やたんぱく質を分解して再利用するオートファジーという体内システムを促進できる断食です。
1日24時間のうち、8時間の間だけ食事をしても良い時間とし、残りの16時間は飲食をしないというものです。1日のうち3分の2は胃腸がゆっくり休むことができるため、細胞が活性化すると言われています。
また、その間に体に蓄積された脂肪や糖質がエネルギーとして使われるため、体脂肪の減少や体重減少という効果が得られます。同時に細胞の再生を促し、代謝の向上にも役立ちます。
16時間断食の正しいやり方を解説
ここからは、16時間断食の正しいやり方について、解説していきます。16時間断食は、3つのステップに分けて行うのが一般的なやり方です。
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断食する時間を設定する
まずは、いつからいつまでの16時間断食をするかを設定します。普段の夕食の時間を起点に考えるとわかりやすいです。
たとえば、夜の7時頃にいつも夕食を食べ終わるなら、翌日の11時までが16時間断食の時間帯となります。この16時間の間は固形物やカロリーがあるものは口にしてはいけません。
ただし、水分補給は必要なので、その際には水、白湯をメインにしっかり行いましょう。
無糖の炭酸水、ブラックコーヒーやお茶なども取って良いですが、カフェインはあまり取りすぎないほうが良いので、気分転換程度に取り入れるほうが良さそうです。
食事の時間を設ける
次はいつからいつまでを食事を取っていい時間帯にするかを設定します。
基本的には16時間断食タイムの残りの8時間なので、夜7時から午前11時までを断食タイムとするなら、食事をしていいのは午前11時から夜の7時までの8時間となります。
基本的に何を食べても大丈夫と言われますが、食べすぎは禁物です。ドカ食いをせず、食事の回数は2、3回に分けることも大事です。
たんぱく質や脂質、ビタミンやミネラルをたっぷり補給できる質の良い食事をすることを心がけてください。この間、カロリーオーバーに気をつければおやつも大丈夫です。
軽めの運動を取り入れる
16時間断食中は脂肪燃焼効果を高めるため、軽い運動を取り入れるようにします。ウォーキングに代表されるような、体に負担が少なくてすぐにできるようなものが良いでしょう。
脂肪燃焼効果と言われると、ついランニングやジム通いなどを考えてしまいますが、断食中は体が普段とは違う状況にあります。無理をすると体調不良に陥る可能性もあるので、自分の体調と相談しながら行うようにしてください。
軽い運動は「断食している、ダイエットしている」というところに考えがいかなくなり、イライラ予防や気分転換にもなるのでおすすめです。
16時間断食中に空腹を感じたら?
最初のうちは体が慣れないため、空腹を感じやすくなっています。しかし、体が溜め込んだ脂肪や糖質を使い始めると落ち着いてきますし、次第に慣れてきます。
それまではおなかが空いたら落ち着かない状態になりやすいため、おなかが膨れやすい炭酸水を飲んだり、時間をかけて白湯を飲んだりして対処しましょう。
それでも、どうしてもおなかが空くこともありますよね。その際にキーワードになるのは低糖質です。噛み応えのある無塩・無糖のナッツ類や無糖のヨーグルト、チーズなどをよく噛んで食べてみましょう。
どうしても甘いものが食べたい場合にはビタミンが取れつつ低糖質のフルーツでも大丈夫です。
断食で健康的な体作りを目指そう
断食は、正しいやり方をすれば胃腸を休めて免疫力を高め、デトックスも期待できる素晴らしいものです。
特に16時間断食は比較的空腹を感じにくいうえに、食事をする時間を短くすることでしっかり消化器官を休め、腸内環境を改善してくれます。
正しいやり方で自分の体の状態にしっかり向き合いながら、いつまでも健康的な体を維持していきましょう。